Interview 木村カエラ
「初めての日本武道館の前日は、自分の中で覚悟が決まった瞬間でした」
The Budokan concert in October was a fantastic live performance. Can you look back on that day?
カエラ:20周年イベントの一番大きな目標として武道館をめがけて走ってきたので、その日を無事に迎えられたこと自体もすごく嬉しかったんですけど、武道館の日が近づいてくると胸の中に込み上げるものがたくさんあって、ふと武道館のことを考えるだけで涙が出てきちゃうような、それぐらい感情が昂っていて。当日の朝に武道館に向かう車の中でも、少し昔を振り返る話をしただけで涙がバーって出てきちゃう状態だったので、これはまずいなと思って、本番はもうとにかく無でいようと(笑)。
Instead of raising my tension, it just went away (laughs).
カエラ:MCでも何回か「深海に(涙の)鍵を捨てた」と言ってましたけど、それをずっと自分に言い聞かせて、あのステージに立っていました。だから自分自身がどうというよりは、周りにいるみんなのことを考えていたというか、スタッフのみんな、マネージャーさん、あの日のステージには立っていないけれども、ずっと一緒にやってきたバンドメンバーだったり、いろんな人たちの顔を思い浮かべるたびにグッとくるものがあったので、とにかく感謝の気持ちを持って、あの日に挑んでいましたね。いろんな意味で必死だったので、正直細かいことは覚えてないんですけど(笑)、ただやっぱり20年間やってきて、いろいろと葛藤してきた日々もある中で、自分が自分らしく、ありのままステージに立てるということが一番大事だと思っていたので、とにかくそこだけ達成できればいいなと思ってやってました。
It was my 40th birthday two days ago, so everyone there celebrated both my 20th anniversary and my 40th birthday, and it was a really happy atmosphere.
カエラ:すごくありがたかったです。武道館でライブを行うこと自体も自分にとってはすごく大事で、2007年に『Scratch』というアルバムを出したときに、初めてアルバムで1位になって、武道館に立つことができたんです。武道館に立つことは夢だったので、とても嬉しかったし、照明の話もしたかったので、その前日に会場を見に行ったんですよ。そうしたらすごく大人数のみなさんがセットを作ったりしていて、自分のためだけに歌っていた歌に、たくさんの人が関わっているのを目の当たりにして、ものすごく責任感を感じたんです。いろんな意味で、自分の中でも覚悟が決まった瞬間でした。それは自分の中ですごく大きなターニングポイントになっていて、あの日があったから今がある気がするし、だからこそもう一度武道館に立ちたい思いが強くあったんです。
「女性こそパンクを歌ったらめっちゃかっこいいのに」
During the MC at Budokan, when I asked the audience, "When did you know me?", I was impressed by the fact that so many people knew me through "saku saku". How was your experience as the MC for "saku saku" a turning point for you, and how does it relate to the present?
カエラ:私は小さい頃から歌を歌うことしか考えてこなかったので、カットモデルをしたり、読者モデルをしたり、専属モデルをしたり、全てが歌を歌うために、歌手になるためにやってきたものだったんです。そんな中で「saku saku」のMCの話をいただいて、「これで音楽に近づける!」と思ったんですけど、蓋を開けてみたら全然音楽の話をしてなくて(笑)。それはそれですごく楽しい時間で、ガンダムの話をしてるだけでも全然楽しかったんですけど、高校卒業で進路を決めなきゃいけないときに、先生と親に「大学に行くのをやめます」って言ったんです。大学の推薦を取っていたんですけど、「歌」という夢をどうしても追いかけたくて、「20歳までに絶対デビューする」って、それで大学に行くのは諦めて。そこからデモテープを作って、いろんなレコード会社に渡しに行ったりしたんですけど、全然相手にされなくて、すごく焦って、それで「saku saku」のプロデューサーの武内さんを渋谷に呼び出したんです。本来だったら私が会いに行かなきゃいけないんですけど(笑)、渋谷に呼び出して、「私本当は歌が歌いたくて、親に20歳までにデビューする約束をしちゃったんです。これが叶わなかったらもう一度勉強して大学に行く約束をしちゃったから、このままだとまずいんです」という話をしたら、「え?そうだったの?」ってなって、そこから話が動き出して、デビューが決まって、今に至るんですよね。
That direct interview was definitely a turning point.
カエラ:かなりそうです。だから「saku saku」に出会ったこともそうですし、武内さんとの出会いもそうですし、失礼ながら渋谷に呼び出したのもそうですし(笑)、自分の人生を変えた瞬間だったなと思います。
Before you told the producer directly, had you ever told anyone around you that you wanted to become a singer?
カエラ:「SEVENTEEN」のモデルをやってるときに「将来の夢は?」みたいな質問にはいつも「歌手になること」と書き続けてはいたんですけど、「saku saku」の人たちには言ってなかったですね。まだ「saku saku」のときは今の事務所に入っていなくて、「SEVENTEEN」の中でも1人だけ事務所に入っていない人間だったんですよ。なので何度か事務所に声をかけてもらって、「歌を歌いたい」とは言ってたんですけど、でもそのときは実際に事務所に入ってるわけではなかったので、自分自身で動くしかなくて。ただ事務所の人がいろんなバンドの人を紹介してくれて、それこそtoeの柏倉さんとか、ASPARAGUSの渡邊忍さん、SCAFULL KINGのようちゃん、the HIATUSのギターのまさくん、元the PeteBestのメンバーと一緒にバンドを組んだり、そういう中でデモテープをたくさん作って、やれることはやってたんですけど……全然相手にされなくて。
じゃあやっぱりプロデューサーさんと直接話をしたことが人生を変えたんですね。 もう20年以上前のことですけど、その日のことで覚えてることはありますか?
カエラ:すごく緊張してたのは覚えてます。 渋谷駅のカフェに来てもらって、2人しか座れないちっちゃなテーブルに向かい合わせで座って。 ただ私は心臓バクバクだったんですけど、武内さんは「え?そんなこと?」みたいな、すごいケロッとした感じだったのを覚えてます。 「そんなことか。知り合いがいるから当たってみるわ」みたいな感じで、 あとは「どんなアーティストになりたいの?」と聞かれたと思います。 当時世の中的にはちょうどアヴリル・ラヴィーンが出てきたときで、 私はアメリカの西海岸のパンク、ランシドやノー・ダウトをめちゃくちゃ聴いてたんですよね。 で、なんで女性のボーカルが少ないんだろう?と思ってて、女性こそパンクを歌ったらかっこいいのにと思ってたんです。 日本にはYUKIさんや椎名林檎さんがいたけど、カラッとした西海岸系のバンドはあんまりいなかったから、私はそういうアーティストになりたい、パンクとロックを歌ってて、洋楽を感じるようなものをしたいっていうのは言いました。
So they released their debut song, "Level 42." It was the first song they performed at the Budokan.
カエラ:今回は「HAPPY BIRTHDAY」をテーマに舞台のセットも組んでいたので、生まれた瞬間から始めるべきだなと思って、「Level 42」で始まって、本編最後は今年リリースした「Twenty」で締めるのは自分の中で決まってました。
Music trends change with the times, but in the last few years the pop punk of that era has become popular again, Olivia Rodrigo has emerged, Paramore is being re-evaluated, and Avril Lavigne released her greatest hits album this year, so watching the Budokan concert I felt that it was perfect for the current era.
カエラ:いいですね。長くそういう時代が眠っていましたからね(笑)。
There is always change, and times change.
カエラ:ファッションと一緒ですからね。
子供が騒いでうるさいのは最高なので、その瞬間をみんなと共有できたのも良かった」
Another thing that really impressed me at the Budokan was the amount of cheering from children. This time there were family tickets available for people to watch with their children, and Kaela's music is a mix of punk and dance music, as well as cool modern pop music, and I've never seen so many children cheering at such a concert before.
カエラ:確かに、見ないですね。私も普段はライブハウスでライブをすることが多いですけど、私の音楽をずっと聴いてくれてる世代は今子育てをしているから、武道館でやることが決まって、きっと子供と来たいはずだなと思って。ただ子供とライブを見るのは結構大変なんですよ。それはライブに関わらず、映画でもそうですし、子供と映画を見に行くなら、トイレのためになるべく端っこの席を取ったり、騒いでも迷惑にならないようにとか、親は常にそういうことを考えて行動していて。だからファミリー席を設けて、子供が動いてても気にならないような感じで席を作ってあげたら、親にとっては何より最高なんじゃないかと思ったんですよね。そうしたらやっぱりファミリー席の売れ行きがすごくて、それぐらいみんな待っててくれた感じがあって、ライブハウスばっかりでやってないで、最初から席があるところでやればよかったと後悔するぐらい(笑)、待っててくれてたんだなっていうのを感じました。なので、普段から子供が多い環境でライブをしているわけではないので、私としても初めてに近い状況だったんですけど……親が一緒に曲を聴いているんじゃないですかね。「私カエラちゃん好きだから、あなたも好きでしょ!」みたいな(笑)。あと私自身子供が聴いて楽しいと思ってくれるような曲を考えて作ってるのもあるのかな。打ち込みの曲は特に、それはすごく意識しているので。
The title of their latest EP is "F(U)NTASY," and perhaps because they depict a fantasy world, it also resonates with children.
カエラ:嬉しいですよね。子供が楽しんでるのが一番最高だと思います。子供が「カエラちゃん!カエラちゃん!」ってずっと言ってくれてたから、逆に大人はいつもより静かだったのが私としては印象的で(笑)。私の普段のライブはお客さんとたくさん会話をするんですよ。面白いこととかくだらないことを言ってる人の発言を私が拾って、いろいろ会話をするんですけど、その人たちが静かだったのが私的には一番面白かった。でもみんなの優しさを感じたというか、子供が騒いでるから大人しくしてようと感覚的に思って、あんまり喋らなかったのかなって。気を使わせちゃったかなとも思ったんだけど、でも子供が騒いでうるさいのは最高なことなので、その瞬間をみんなと共有できたのも良かったですし、20年経ってることも実感できたので、いろんな意味で良かったですね。
It's probably also because Kaela herself has experience raising children and understands a parent's perspective well.
カエラ:そう思います。親だって騒いでもいいし、でも何よりきっと親が望んでることは子供と同じ時間を共有することだと思うんです。自分だけがどこかに行くんじゃなくて、出来れば子供と一緒に行きたい。子供と一緒に楽しいことを経験したいっていうのはどの親もきっと思うことだと思うので、そういう時間になればいいなとも思ってましたね。
「20周年は自分にとって新しいスタート」
Now, please tell us about your COLLABORATION with CA4LA. Why did you decide to make a knitted newsboy casquette?
カエラ:もともとベレー帽がすごく好きなんですよ。素材関係なく、ベレー帽の形が好きなので、かわいいベレー帽につばがついていたらいいなと思ったら、「それはキャスケットだよね」って(笑)。だから最初からキャスケットを作りたかったわけじゃないんですけど、結果的にキャスケットを作りたかった、みたいな感じ。もともと自分が20年ぐらい前に買った古着のニットのベレー帽があって、それがすごく好きだったので、今回それを基に作ってるんですよ。「時間が経っても変わらず好きなもの」みたいなこともいいなと思ったし、おばあちゃんになってもかぶれそうなものにしたいと思って、それだったらこれだなっていうものが今回デザインしたものでした。
The motif was based on personal items that you bought a long time ago, but what points did you pay particular attention to when actually creating the piece?
カエラ:カラフルな方の色はすごくこだわって作ったので、糸の種類を2種類使って編んでいます。特に紺色の糸に関しては、トーンがなるべく高級に見えるように配色を考えながら、若い方でも私より年上の方でも、かぶったときに品があるような感じにできればなって。デザインに関しては、ずっと使って、毛玉ができてもかわいいというか、古着にも合うし、でもハイブランドを着ても合うような、そんなことも意識して作ってみました。
Were you satisfied with the actual items, Kaela?
カエラ:これはとてもかわいいと思います。すごく満足してますね。
The styling of the photos also has a vintage feel to it.
カエラ:そうなんです。スタイリストさんに「こういう服が着たい」とお願いをして、集めてもらったんですけど、少しヒッピー感だったり、60年代・70年代のロンドンの感じとか、その頃の雰囲気が出るといいなと思って、スタイリングを選びました。
You are also the image character for this year's CA4LA Christmas fair.
カエラ:撮影は本気出してましたね。 みなさんで本気を出した分、出来上がった動画のクオリティもすごく高く、がんばった分、 映像がとても素敵だったので、もうそれが最高でした。 クリスマスのわくわくする感じが映像からすごく伝わってきて、 「今日はクリスマスだ!」みたいな感じのテンションと動画のテンションが一緒だったので、 それが素晴らしいなって。たくさんの人に見てもらえたら嬉しいです。
That image also has a fantasy feel to it.
カエラ:そうなんですよね。私がマネキンから動き出す、本当にファンタジーの世界で、私的にも大好きな世界観だったので、撮影は大変だったけどすごく楽しかったです。
In a Q&A section on gifts on the campaign website, you were asked, "This year marks the 20th anniversary of your debut. Would you like to reward yourself with a gift to mark such a milestone?" to which you replied, "I'm thinking of going overseas! It's been difficult to find the time to go overseas until now, so I definitely want to go." And it seems that you did in fact go to United Kingdom after the Budokan concert.
カエラ:すごく楽しかったです。少し前まで時差ボケがきつくて、ちょっと焦りましたけど(笑)。自分の中では20周年が始まってから、貯めてきたものを全部表に出して、全てのアイデアに使ってきて、もう空っぽみたいな感じになってたので、ものすごくたくさんいろんなものを見て、いろんなことを吸収して帰ってこれた感じがして、今はまたちょっと頭はお腹いっぱいな感じ。だからまたこれがどう消化されて、表に出ていくのかはすごく気になるところというか、楽しみなところですね。
Did this mark your first step towards your 21st year?
カエラ:そうですね。20周年は自分にとって新しいスタートだと思っていて。そんな気持ちでロンドンにも行けて、たくさんのことを吸収できて、すごくリフレッシュして帰ってきたので、ちゃんと一区切りがついた感じがしていて。なので、ここから先もまだまだ楽しみだなと思います。
Kaela Kimura
2004年6月にシングル『Level 42』でメジャーデビューして以降、
『リルラリルハ』『Butterfly』『Ring a Ding Dong』などヒット曲を立て続けにリリース
2018年に初の絵本『ねむとココロ』、2020年には初のエッセイ本『NIKKI』 を出版。
2023年10月より配信のサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」の国民プロデューサー代表を務めるなど、
デビュー20周年へ向け幅広いジャンルで活動中。
2024年10月26日(土)には12年ぶり4度目となる日本武道館公演を成功させた。
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